政府の姿勢・取組

拉致被害者・家族に対する総合的な支援策について

1 経済的支援について

帰国等に伴う費用の負担

  • 被害者又は被害者の配偶者等の帰国等に要する渡航費用は国が負担する。
  • 被害者又は被害者の配偶者等が帰国等してから落着き先での滞在を開始するまでの間の費用(交通費、食費、宿泊費、医療費等)についても、国が負担する。

日本における生活の保障

  • 帰国被害者等が本邦に永住する場合には、拉致被害者等給付金を、永住の意思決定の時から10年※を限度として、毎月、支給する。
  • 被害者が永住の意思決定が可能となるまでの間は、滞在援助金を支給する。
  • ( ※拉致被害者等給付金は、平成22年3月、給付金の支給期間を5年から10年に延長する改正法が議員立法で成立。)

年金の給付

  • 年金額の改善を図るため、拉致期間を国民年金の被保険者期間とみなし、国はその期間に係る保険料に相当する費用を負担すること等の特例措置を講ずる。

2 身体の安全及び心身の健康

身辺の警護

  • 警察では、帰国被害者に対する身辺警護を行っているほか、必要な警備体制を取っており、引き続き、身辺警護を行う。

健康診査

  • 40歳以上で、市町村内に住所を有する帰国被害者等に対しては、老人保健法の規定により、心身の健康を保持するために行われる診査及び当該診査に基づく指導を内容とする健康診査を行う。

精神的なケア

  • 精神保健福祉センターや保健所において、心の健康相談を始めとする精神保健福祉相談を実施する。
  • 特別支援として、地元精神科医及び心のケアに関する中央の専門家による精神的ケア実施体制を整備し、今後、被害者本人等の申し出により、地元精神科医等が中心となって精神的ケアを実施する中で、適宜専門家を派遣する。

3 生活相談

相談・対応窓口の設置

  • 日常生活の諸問題に関する相談に応じ、必要な助言、指導を行うための要員を配置する。具体的には、経験や知識に加え被害者本人との信頼関係により人選し、県福祉事務所のケースワーカー(嘱託職員)として新たに採用し、国がその費用を補助する。

派遣形式による研修等の実施

  • 今後、帰国被害者等が日本社会に円滑に適応するために、帰国直後に派遣形式による研修等を一定期間実施し、基本的な生活習慣や日本語の指導を集中的に受けることについて、ニーズを踏まえつつ、引き続き検討する。

4 居住の安定

公営住宅への入居

  • 帰国被害者等が永住帰国され、日本における居住の場として公営住宅への入居を希望される場合において、事業主体である地方公共団体の判断により、その住宅に困窮する事情に応じた優先入居の取扱いを行う。また、家賃についても、実情に応じ、地方公共団体の判断により、減免等を行うことが可能。
    民間住宅の借り上げによる公営住宅の供給は、地方公共団体の判断により可能。なお、住戸規模等には制限(80m²以下)がある。

5 雇用機会の確保

公共職業安定所による就職あっせん

  • 地元公共職業安定所に所長を長とした支援チームを設置し、帰国被害者等の希望に応じ、求人情報の収集・提供、求人開拓、職業相談、職業紹介等を通じて確実な就職に結びつける。

職業訓練の実施

  • 職業訓練については、公共職業安定所において求職登録、受講あっせんにより、無料で公共職業訓練を提供する。
  • 訓練受講中の生活の安定を図る等のため雇用対策法に基づく職業転換給付金制度の適用により、訓練手当等を支給する。

6 教育機会の確保

学校への受入

  • 小・中学校については、国籍の別を問わず相当学年への受入を行う。また、日本語が不十分である等の事情がある場合には、一時的に下級の学年に編入する措置をとることは可能。
  • 帰国被害者等が高校進学を希望した場合、高等学校の入学資格等について、教育委員会等からの相談を踏まえ、帰国被害者等の意向に沿った入学資格等の付与が可能となるよう対応する。
  • 帰国被害者等が大学進学を希望した場合、受入が円滑に行われるようそれらの者の意向や事情に配慮した特別選抜が行われるよう、大学に対して求めていく(実施されるか否かは各大学の判断)。また、我が国の大学に編入学する条件が整っていない場合にはその準備教育について支援を行う。

日本語習得への支援

  • 小・中学校及び高等学校においては、日本語指導のための教員定数の加配を行う。
  • 小・中学校及び高等学校においては、朝鮮語を話せる教育相談員の派遣が行えるよう支援する。
  • 小・中学校及び高等学校においては、国が作成した日本語指導資料・教材を配布する。
  • 大学においては、編入学を許可した大学に留学生並みの日本語教育を施すよう要請する。また、大学入学前に日本語教育を希望した場合には、国立大学留学生センター等における日本語教育の受講が可能となるよう調整する。

7 戸籍等に関する手続

日本国籍の取得

  • 改正国籍法施行(昭和60年1月1日)前の出生子は,法務大臣に対する届出によって日本国籍を取得するため、法務省発行の国籍取得証明書を添付した国籍取得届書が市町村役場に提出されれば、戸籍に記載される。(改正国籍法施行後の出生子は、出生によりすでに日本国籍を取得しているため、出生届書が市町村役場に提出されれば、戸籍に記載される。)

婚姻届、出生届等各種届出の受理等

  • 届書が市町村役場に提出された場合、迅速かつ適切に戸籍に記載されるよう努める。

8 国と地方の連携

  • 国は地方公共団体と緊密な連携を保ち、支援策の策定及び実施を行うこととし、必要があると認めるときは、地方公共団体が講ずる施策について、援助を行うものとする。

9 生存が確認されていない被害者の家族への対応

  • 安否が確認されていない被害者及び被害者の配偶者等の安否情報の収集に努め、家族に対する速やかな情報提供を行うとともに、家族からの相談等にきめ細かく対応する。