7月10日午後,日本経済新聞社に対し,同社が同日付朝刊1面に「拉致被害者複数 生存者リストは約30人」との見出しの記事を掲載した件につき,外務省,内閣官房拉致問題対策本部事務局,警察庁の連名で,以下の内容について,文書を手交の上申し入れを行いました。
「貴社は,平成26年7月10日付朝刊1面において,「拉致被害者複数 生存者リストは約30人」との見出しの記事を掲載し,「北朝鮮が日本側に提示した北朝鮮国内に生存しているとみられる日本人の生存者リストに,政府が認定している複数の拉致被害者が含まれていることが9日,明らかになった」「生存者リストは北京で1日に開いた日本と北朝鮮の外務省局長級協議の際に,北朝鮮側が提示したもの」と記述されています。この報道内容は事実と全く異なるものです。
貴社は,平成26年7月3日付朝刊1面においても,「北朝鮮,生存者リスト提示」との見出しの記事を掲載し,「日本と北朝鮮が1日に北京で開いた外務省局長級協議で,北朝鮮国内に生存しているとみられる日本人のリストを北朝鮮側が提示していたことが明らかになった」と報じましたが,この記事の真偽について記者会見で問われた菅官房長官が明確に否定したにもかかわらず,今般,改めて同旨の内容を記事として掲載したことは大きな問題であると考えます。
日本政府としては,北朝鮮が7月4日に立ち上げた特別調査委員会の調査の進捗を慎重に見極めていきたい考えですが,こうした状況において,貴社のように社会的に影響力の大きい報道機関において,このように事実に全く反する記事を重ねて掲載することは,大きな期待や不安を抱える拉致被害者ご家族のお気持ちに与える影響を含め,重大な社会的影響を及ぼしうるものであり,極めて遺憾であります。
このため,当該記事に対し強く抗議し,速やかに訂正されるよう求めます。」